登山ガイドの仕事のひとつに、「山に行っての感動や感情を、お客様に代わり言語化してお客様と共有する」ということがあります。
例えば、
「今日の青空は澄み切っていて吸い込まれそうですね」
「湖面に太陽が宝石みたいにきらきら反射して眩しいですね」
「悠久の時を感じさせますね」
などなど。
こういったことを手話で表すのは、はっきり言って難しいです。他の登山ガイドの通訳として同行していて、そのガイドの感動の言葉を手話通訳するときにはさらに翻訳の困難さを感じます。
もう一つ例を出してみましょう。
景色が美しく感動したとき。どんな日本語を使うかというと、
「素敵」「絶景」「麗しい」「(色が)鮮やか」「刺激的」「神秘的」「神々しい」「荘厳」「荒々しい」「猛々しい」「豪華絢爛」「壮大」「雄大」「素晴らしい」「えも言われぬ美しさ」「圧倒的な美しさ」
などなど、いろんな言葉が出てきます。
ところが、これを手話に変えようとすると非常に難しい。
思考が日本語になってるからこういった壁にぶち当たるのだと思うのですが、しかし、気持ちを表す表現を手話で思考するという作業はそう簡単にはできません。感動・感情というのは、やっぱり「母語」で考え理解するものなんだなと、こういうときに嫌なくらい痛感します。
だからきっとネイティブの手話話者なら、きっといくつもの形容詞や気持ちを伝える手話を使っているのだろうと思います。しかし私にとって手話は第二言語以下。それほど多くの手話単語を持ち合わせてはおらず、いつも「綺麗」か「かっこいい」か「凄い」くらいの表現しかでてきません。「もっと豊かな表現で伝えたいのに~!」といつももどかしい思いをしています。
ろう者の皆さん、皆さんはどういう表現で、山での想いを仲間と共有していますか。
語彙不足の私に伝授してください。
私も、もっと皆さんと感動を共有したい!
コメントをお書きください
永井恒 (月曜日, 25 4月 2022 11:57)
難しいね。百名山手話単語集の冊子を作成して下されば、ありがたい。
Keiko YAMADA (月曜日, 25 4月 2022 18:01)
こんにちは。
記事を拝見して、私はそもそも「お客様に代わって感動を言語化」したことがないという事実に気がつきました笑
難しいですよね、形のないものを言語化するって。
何も伝授していないコメントですみません�
mabo (月曜日, 25 4月 2022 18:39)
手話通訳者養成講座を担当していて手話通訳の難しさは分かります。
やはり顔の表情が大事かと思います。
例えば『神秘的』は神+綺麗+不思議とか神+静か+綺麗など顔の表情も合わせて表現すれば伝わると思います。
対象のろう者のコミニュケーションレベルに合わせる必要もありかと考えます。
ノブリン (月曜日, 25 4月 2022 20:01)
ろう者は、目で見た景色や様子を、手と顔表情と強弱によって、表してることが多いです。だから、ろう者と共に山に行く時間を増やすか、山仲間に入って磨くしかないですね。
「等高線」細井 (木曜日, 28 4月 2022 12:25)
みなさん、沢山のコメントありがとうございます。
まずはお客さまの表情をよく観察して真似するところから始めようかなと思います。
日本百名山の山名手話表現、チームで作れたらいいですね♪